2016年10月18日火曜日

絵の指導について①

日本では、子どもに、とくに小学生時代、直接的に絵を指導しないようです。

「絵は教えてもらった記憶がない」

という方にとても多く出会います。
子どもの発達に基づいて造形活動を指導することになっているので、発達が達していないうちに、技能だけを教えてはいけないというのがその理屈なのだと思います。
「描きたいものを描かせる」ように私も言われてきました。

でも生徒たちに聞くと

「上手な人はいいけど、私は描きたいものなんて描けない。描けるものしか描けないもの。」

と言うので、描きたいものを描いてもらうようにするには、指導者は何かしないといけないのではないかと思ってきました。

描き方を教えてはいけないという言説の中で、子ども自身がしていることは、自分のまわりにいる自分より絵の上手な友達の絵を真似することです。

ではこれはどうでしょうか。


左は、だれもまわりにいない状態で子どもが描いた絵です。私を描いてくれたということなので、数分会話をして、それから私が右手を少し上げて立って見せますと、特に書き方を教えることなく、この子どもの絵は右のように変わりました。右の方が年齢が高い子どもが描いた感じになっっています。

描き方を教えてはいけないという言説の中で、大人がせめてすることは、発達を促すことではないかと思います。

だとすれば

「集中させて黙って描かせる」「好きなように描かせる」では絵画指導者として
無責任なのではないでしょうか。

子どもの絵は、知的発達とともに変わりますので、知的発達を促さなければなりません。そして知的発達がその子どものもつ技能を勝ることがあれば技能を教えても構わないと思うのです。

今の図工教育では、子どもの絵を描く能力を評価しているだけのような気がするのは、わたしだけでしょうか・・・・。


2016年10月3日月曜日

英文字の話(4)Lower-case Letters and Spelling

小文字の学習はスペルの学習と関係あり

Learning lower-case letters can relate to learning how to spell.

しつこいようですが、小文字の練習は、初めのうちは少なくともアンダーライン、できればアンダーラインの色が違う4線を使って練習するのが良いのです。

なぜなら、小文字は並べて言葉になったときに、文字の高さがその言葉を認識するのにとても役立つからです。

アメリカの小学生はスペルを覚えるときに「船」という方法も使っています。

「船」とは、文字の外側を囲んで、シルエットを作る方法です。

たとえば「know」という船を作ってみましょう。

「k」は発音されないので意識してスペルを覚えないと書き忘れてしまいそうです。

ですが、一旦 「船」にしてみると左側の飛び出た部分が視覚記憶に残りますので「k」を書き忘れにくくなるわけです。

quiteとquietのように一見見間違いそうな単語でも船の形になると違うのがお分かり頂けると思います。


高さを正確に書いた単語と、高さを気にせず書いた単語も見比べてみてください。
さらに、日本語の発音には「b」と「v」や「l」と「r」の違いはないのでスペルを覚えるときに相当意識しないとどっちだったかわからなくなってしまうことがあります。こんなときにも文字の高さによる視覚記憶が役に立つのです。

一方癖字はどうでしょうか。自分がわかっていても相手に伝わりませ
ん。たとえば右図をご覧ください。

文字は似ていても発音は全く違うので、違う読み方で単語を覚えてしまうことさえあるのです。









また、スペルに自信がない子どもも、あいまいなアルファベットを書きます。
「a」か「u」か忘れてしまったらこうなりえます。

「e」か「i」か忘れてしまったらこうなりえます。


結局アルファベットを正確に書くほど、スペルを覚えやすくなり、またスペルを大切にするようにもなるのです。そしてそれは結局語彙につながってくるようです。

とは言っても、現代のようにテクノロジーが日常的になってくれば、書かずとも文字を打つことができ、スペルミスは勝手にソフトが修正してくれます。
最終的には読めれば良いということになるのかもしれません。
それでも、文字の高さが記憶されていれば、サイトワード(1文字1文字辿って読まなくても一目見て何かわかる単語)が増えるので、やはり文字の高さは大切だと思います。


2016年8月12日金曜日

英文字の話(3)Learning lower-case letters

小文字は大文字より難しい③

Learning lower-case letters is more difficult than learning uppercase letters.

前回のレディネスに基づいて、小文字を覚えていきましょう。

1. アルファベットを順番にAからZまで、26個すべてスムーズに言える
ことができていれば、アルファベット順に正確に並べられたaからzを、とりあえず読むことができます。これを繰り返すことがまず大切です。

応用練習のアクティビティとしては、小文字のカードをアルファベット順に並べたり、ところどころ欠けているアルファベット表を埋めるなどが考えられます。
(小文字のカードは、少なくともアンダーラインをいれておく必要があります。)

2.アルファベットの大文字が迷うことなく読み書きできる
ことができていれば、大文字と小文字を対応させて、ペアを作って覚えることができます。
この時注意したいのは、文字の高さと大きさです。
できれば4線、少なくともアンダーラインがあると 、後の学習が楽になります。

応用練習のアクティビティは、大文字と小文字のペアを作るカードゲームです。神経衰弱のようにすることもできます。文字が上下逆になってしまうことがありますので少なくともアンダーラインが必要です、また、4線の時は3線めの色が違っている必要があります。

3.小文字を書くのに必要な筆運びができる
ことができていれば、実際に書いて練習することができます。

ここでも中止したいのは、文字の高さと位置です。
できれば4線、少なくともアンダーラインを使って練習します。

アルファベットを唱えながら、順番にかいて練習するだけでなく、似ている文字をまとめて練習して、どちらがどっちかをしっかり認識していくことも後の学習を楽にします。

当然のようですが、小文字を反射的に読み書きできれば、スペルを覚えるのも、単語の語彙を増やすのも楽になります。


「それでもbとdがわからなくなる」と、生徒さん達から言われます。
そこで、思い出すヒントを示してみました。
最初は、いちいちヒントを使って思い出さなければならないので、時間もかかりますし、面倒ですが、迷わないで思い出すことを繰り返すうちに、ヒントがなくても、反射的に出てくるようになります。以下参考にしてください。

1. 手でbとdを作ってみます。abcd の順がわかっていれば、左にある方がbだと思い出せます。


2. 大文字のBから小文字のbを連想します。

3. ベッドの形を連想してから、bedと当てはめてみます。

4.「bは棒から」と覚えます。筆運びを体で覚えていれば、自然と「b」が書けます。

次回は、小文字の特性を生かしてスペル学習にまで踏み込んでみたいと思います。

Yキッズルーム「土曜日家族で英語」プログラムもどうぞごひいきに。




2016年8月7日日曜日

英文字の話(2)Lower-case letters "Readiness"

小文字は大文字より難しい②

Learning lower-case letters is more difficult than learning uppercase letters.

アルファベットの小文字の学習が難しいので、いくつか工夫が必要です。

「レディネス」という、学習する準備が整っているという状態をつくることで、難しい学習がスムーズにすることができます。

小文字学習のレディネスは、いろいろありますが、私は以下の3つを推薦します。

1. アルファベットを順番にAからZまで、26個すべてスムーズに言える。
スムーズというのは、きちんとした発音で、途中で迷うことなく、できれば早口で言えることです。きちんとした発音というのは、唇や舌の動きや位置ができるだけ正しいことを意味します。
有効な練習方法は、オーソドックスにABC song。
YouTube で検索すれば、手軽にアニメーション付きで歌を聴くことができます。

2.アルファベットの大文字が迷うことなく読み書きできる。
家の中にも、街の中にもアルファベットは転がっているので、読む練習をする機会はたくさんあります。
書くのが難しい場合は、最初は、言われた文字を26字の中から、迷うことなく選べるようになることから始めましょう。
アルファベットBINGOなども楽しく学習できます。

3.小文字を書くのに必要な筆運びができる。
重要と思われる2つを動画で示します。

弧から描く時は、時計と反対回りに描きます。


時計回りの弧を描く時は、先に縦棒を引いてから戻るようにして。



次回は、具体的に小文字を覚えて、使いたい時に思い出し、活用する基礎力を考えます。

2016年7月22日金曜日

英文字の話(1)Lower-case letters

小文字は大文字より難しい①

Learning lower-case letters is more difficult than learning uppercase letters.

文科省は小学校から英語を導入することにしましたが、今のところ、小学校では文字指導はしないことになっています。とはいえ、国語でローマ字を学習しますので、英語の読み書きはともかく、アルファベットは習得しなければなりません。

ここでいくつか問題が生じます。

一つは、英語の文字と音の関係が、ローマ字の文字と音の関係と異なることです。この点が気になる方には、フォニックスをお勧めします。Yキッズルームではフォニックスも取り扱っておりますので、ぜひお問い合わせください。

さて、もう一つは 、小文字の学習の難しさです。

ローマ字習得の目的の一つは、キーボードをローマ字打ちすることが普通になってきたことにもあるのですが、キーボードには小文字が表記されていません。現実的には小文字の方を多用するにもかかわらず、小文字を目にする機会は多くないのです。

それだけではありません。大文字は横にしたり、逆さにしても、認識できますが、小文字は逆さにすると別の文字になってしまいます。つまり、それだけ似ている文字が多いわけで、このことも、学習者にとっては難しく感じてしまう理由です。



さらに書体(フォント)によって形が違う文字があるというのも、混乱の原因です。


そこで、しばらく、数と計算の話から離れて、小文字の学習のことを考えてみたいと思います。





2016年7月15日金曜日

お母様方へ 子どもの数と計算の話(6)

数える!数える!数える⑤

「◯◯と、◯◯、合わせていくつ?」「全部でいくつ?」
足し算を導く問いかけですが、子どもは、足すのではなく、本当に合わせてから、いくつになっているかを数えようとします。



じつは、子どもは、「数える」から「足す」に発展する間に

「つづけて数える」という行為がおきる必要があります。

この、「つづけて数える」という活動をたっぷりさせてあげることが重要だと考えます。

「ぼく、ミニカーをみっつもってるよ。」
「わたしのミニカーをふたつあげましょう。そしたらいくつになるかな?」
「いち、・・・」
「ちょっと待ってね。◯◯くんは、みっつもっているのよね。そしたらそこからかぞえてみましょうか。」
「みっつ、よっつ、いつつ。いつつになった!」

「ぜんぶで」と問いかけると、子どもは文字通り手のひらで全部にまとめ、それをまた1から数え直します。このとき、最初に持っていた数がわかってるのなら、混ぜないで
その山にひとつひとつ、加えながら数えていくように導いてあげます。



こうすれば、時間的にも早く合計数がわかるので、合理的です。

ただし、やり方がわかったからといって、子どもが納得しているとは限りませんので、納得いくまでいろいろやらせてあげたいものです。

この、納得いくまでの活動は、子どもにとっての実証活動になります。算数の基礎で具体物を使うことの重要性は、発達段階に応じての数に関する感覚を豊かにすることはもちろんですが、自ら納得すれば、次には見通しをもち、筋道を立てことにつながっていくと考えられるからです。

ご家庭では、なかなかお忙しく、子どもの実証活動を見守るのは大変かと思います。
Yキッズルームでは、じっくり子どもの実証活動に付き合います。
こちらをご覧いただき、お問い合わせいただければと存じます。年長児さんに関しましても、今年の12月から、入学準備プログラムを水曜日に開講いたしますので、ご関心のある方はお問い合わせいただければと存じます。